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2010年03月 アーカイブ

2010年03月04日

「T-岡田」問題について考える

オリックスの「岡田貴弘」は期待している選手の一人だ。
不発の大砲・大森剛(元巨人、現スカウト)にソックリ、という点がネックなのだが、
幸いなことに、彼が所属しているのは窮屈な巨人ではなく、オリックスだ。
待望久しい和製スラッガー候補として、伸び伸び育ってほしいと思っている。

だからこそ、開幕を前にして、あえてここで質しておきたい。
「T-岡田」でいいのか、本当に?

オリックスは「イチロー」を生み出した球団だから、
登録名については鷹揚な空気があるのだろうと思う。
というより、イチローという稀有な成功例があるものだから、
期待値の高い選手ほど登録名を作りたがる風潮すらあるのかもしれない。
しかし、「T-岡田」という結論を出す前に、
もう少し立ち止まって考えてみたほうがよくはなかったか。

スポーツ紙で「T-岡田」という字面を目にしたとき、とっさに連想したのは
「C-3PO」とか「R2-D2」であって、これはもうギャグ以外の何者でもないだろう。
「野球を笑う」ことを誰よりも好きだと自負しているワタシではあるが、
それは結果として笑えるからこそ意味があるのであって、
のっけから「笑ってくれ」とばかりにネタを提出されても困るのである(実は大して笑えないし)。
それでも登録名が必要というなら、まあ「イチロー」のパターンしかないだろう。
となれば「タカヒロ」となるが、それじゃあEXILEのボーカルだ。
あのツラとのギャップは甚だしい限りで、やはり感心しない。

聞くところによれば、「T-岡田」が生れた発端は、
同姓の岡田監督が「紛らわしいから登録名考えたほうがエエんちゃうの」
という意味の発言をしたことであるという。
ここに、そもそも釈然としないものを感じるのだ。
プロ野球において、監督と選手、どっちがエラいのか。
現場では監督のほうがエラいんだろうが、我々ファンにとっては、
数年でコロコロ代わる監督よりも、この先ずっと球界を背負っていく選手のほうが
ずっと大切だし、何倍もエラいのだ。
だからこそ言いたい。紛らわしいんだったら、お前が名前を変えろ。
「どんでん」でも「藤山寛美」でも何でもいいから、
適当な登録名で数年監督を務めて、その間、自分がピエロになって話題を集めればいい。
大切な選手を、テメェの都合でオモチャにするな。

結論としては、岡田貴弘は「岡田」でよろしい。
考えてもみよ。今季、彼がブレイクして全国区の選手になったら、
「T-岡田」という登録名が浸透してしまって、後へは退けなくなってしまうのだ。
この先、数々のタイトルを獲得し、スラッガーとしての風格をかもし出し、
やがてメジャーから声がかかるかもしれない。しかし、彼は「T-岡田」なのだ。
もし、松井秀喜が「H-松井」としてプレイしていたら、
これほどリスペクトされる選手になっただろうか。
元へ戻すなら今のうちだ。ブレイクしてからでは、遅いのである。

以下、補足。

①じゃあ「G.G.佐藤」はどうなんだ?という声があるだろう。「G.G.佐藤」も好きではないが、「T-岡田」よりはまだマシだと思う。何がイヤかというと、「-」の部分である。この「-」に、人を人としてみていないゾンザイな感じが漂ってはいないだろうか。

②ロッテの「翔太」(大嶺翔太)についても、一言言いたい。入団前にああいう経緯があって、球団はずいぶん厳しいコメントをしていたはずなのに、登録名は「翔太」である。言ってることとやってることが違うんじゃないか。ここは、松沼ブラザーズの伝統にのっとって「大嶺兄」「大嶺弟」でいいんじゃないのか。

(オースギ)

2010年03月26日

【開幕前夜】あえていま、セ・リーグ論

いまに始まった話ではないが、セ・リーグは殿様商売である。

理由は簡単で、巨人・阪神・中日という「三大老舗球団」がデンとあるからだ。
それぞれ戦前のプロ野球草創期から、東京・関西・中京という日本の三大都市圏を根城に、
身売りも本拠地移転もなく継続してきた揺ぎない伝統がある。
戦後の2リーグ分立の際、<新聞社連合>である中日は巨人に早々と追随した。
そして、<私鉄連合>として阪急や南海とともにパ・リーグに加わるはずだった阪神は、
讀賣の説得によって土壇場で寝返り、セ・リーグに加盟した。
歴史的経緯をみればこの3球団は一蓮托生なのであり、
彼らがアピールする「お互いのライバル意識」というのは、
興行が終われば一緒のバスで移動するような、
同一プロレス団体の中で繰り広げられる「抗争」と大差はない。

この3球団に、戦後の新興球団である(現在の)ヤクルト・横浜・広島がぶら下がるという構図で、
セ・リーグは推移してきた。
たとえば巨人のV9時代(1965~73)、2位は常に阪神か中日だった(阪神5回、中日4回)。
この9年間で「新興球団」がAクラスに入ったのは、
大洋(当時)が3回、広島が1回、それぞれ3位になっただけである。
こういう時代を「プロ野球の黄金期」と語る(主に団塊世代の)人たちを、
ワタシはあまり信用していない。

個人史を述べさせてもらえれば、
長嶋茂雄引退の74年に「自分はプロ野球好きなのだ」と目覚めたワタシは、
いわば<ポストV9世代>なのだと思う。
75年に広島が初優勝し、78年にヤクルトが初優勝した。
つまり、セ・リーグの歴史が変わった時代だった。
一方のパは、「強い阪急」がずっと優勝していて、日本シリーズでもセを圧倒していた。
(76、77年の巨人も、阪急の前では「格下」だった。そういう時代があったのです)
下克上のセと、保守的なパ。それが、個人的な「プロ野球の原風景」だったわけです。

……その後、プロ野球は幾多の紆余曲折を経た。そして、2010年。
かつて保守的だったパ・リーグは、球界再編騒動などの苦難を乗り越えて、
いまや理想的な「群雄割拠」状態となっている。
6球団がフラットな状態で競い合い、どこが覇権を手にしてもおかしくない。
じゃあ、セ・リーグはどうなのか。
驚くべきことに、あの「巨人のV9時代」に逆戻りしているではないか。
01年のヤクルト以降、優勝は巨人・阪神・中日3球団のタライ回しだ。
07年から導入したクライマックス・シリーズも、ほぼこの3球団の指定席である(昨年は奇跡的にヤクルトが3位になったが、あれは阪神が勝手にコケた結果だ。勝率5割以下の3位なんて、正直にいえば3位には値しない)。
そして今季の順位予想も、Aクラスは「巨人、阪神、中日」のオンパレードである。

「巨人のV9時代」に大洋やサンケイや広島のファンだった人たちは、
もしかするとこんな心境だったのかな、と考えることがある。
「弱い球団は企業努力をしてないからだ」という小泉新自由主義的な物言いには与したくないが、
あえていえば、こんな構造を招いた責任は「下の3つ」にあると思う。

「上の3つ」=巨人・阪神・中日に「変われ」といったって無理だろう。
彼らはそれぞれの既得権益をベースに「うまくやっている」のだから、変わる理由がない。
変わるべきなのは「下の3つ」だ。でなければ、セ・リーグに未来はない。

広島は昨年、新球場移転という大きなエポックで「変わる」道筋を示している。
残るは、ヤクルトと横浜だ。さまざまな意味で、12球団の中で最も埋没している2球団である。
ハッキリ言おう。どちらかの球団に、今後2年以内に「本拠地移転」を決断してもらいたい。
さしあたり、それ以外に「変わる」手段はないだろう。
それが決して無謀な手段でないことは、いまのパを見ていれば分かることだ。
これを、無責任な発言だとは思わないでほしい。
東京在住のスワローズファンが、ホームゲームを観戦できなくなるリスクを承知の上で
行っている<提言>と受け止めてもらいたい。

仮にスワローズが松山へ移転しても、ワタシはスワローズファンをやめるつもりは微塵もない。
むしろ、松山という土地を好きになるように努力するつもりだ。

(オースギ)

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