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2011年01月 アーカイブ

2011年01月25日

大杉勝男的なるもの

大杉カツオ(twitterでは @katsuo_ohsugi)などという、
「中森明夫」に匹敵するような不遜きわまるPNを名乗っている理由は、
ただ単純に「大杉勝男という野球選手をリスペクトしているから」。
というわけで、たまには初心に戻って、
「大杉勝男的なるもの」についてツラツラ書いてみようかと思う次第。

「大杉勝男的なるもの」などと書くと大層な響きですが、
実のところ、大して複雑な条件があるわけでもありません。
大別すれば、以下の3点に要約できます。

①右打ちのスラッガー。
②叩き上げタイプ。
③「コワモテ」と「愛嬌」の共存。

①②はともかく、③について少し説明しておきましょう。
一般に、大杉勝男のイメージは「コワモテ」要素が強いと思いますが、
重要なポイントは、それと表裏一体の「愛嬌」です。
具体的にいえば、78年日本シリーズ第7戦、例の“疑惑のポール際本塁打”の次の打席で、
「今度は文句ないだろ」とばかりに左中間スタンドに放り込んだ際、
一塁ベースを回ったところで両腕を回しながらピョン!とジャンプしたあの姿。
(同様に、本塁打を打ってピョン!と飛び上がる姿を、ワタシは新潟市営鳥屋野球場で目撃しています)
あるいは、全盛期の江川と対戦した際のワンシーン。
外角ぎりぎりのカーブがボールと判定され、江川が珍しく血相を変えて主審に抗議。
で、意地になった江川は、まったく同じコースに同じカーブを連投。
それを「待ってました」とばかりにライト線へ打ち返し、一塁ベース上で破顔一笑したあの姿……。

たとえば、落合博満という人も①②にバリバリ該当するわけですが、
大杉との差異は何かといえば、③ということですね。
落合は本塁打を打ってピョン!と飛んだりしないし、一塁ベース上で破顔一笑したりしません。
どっちがエラいとか凄いとかいうことではなく、まあ人それぞれの好みなのですが、
ワタシの場合は、野球的興奮が高まったときにピョン!と飛んだり破顔一笑したりする選手が好きだという話です。
付言しておけば、のべつまくなしに感情表現してるような「お調子者」とは違いますよ。
「コワモテ」と「愛嬌」の共存、ここがポイントです。

というわけで、上記の「大杉基準」を現役選手に当てはめてみると、どうなるか。

いま最も「大杉勝男的」なのは山崎武司(E)ということになるでしょう。
楽天移籍後の山崎は、大杉的な「愛嬌」が加わったことで上記の③に該当するようになり、
野球選手としての余裕と円熟を獲得したように見えます。
若松の弟子である岩村が3番に入る今季の楽天打線は、
「3番・若松、4番・大杉」の再現かもしれません。そんなこと考えてるのはワタシくらいでしょうが。

以下、「大杉の域まで今一歩」の選手たちを挙げておきましょう。ハードルは意外と高いですよ。

村田修一(YB)は、③がダメ。致命的に「愛嬌」が足りない!
栗原健太(C)も同様。ただ、村田より「大杉的資質」はありそう。
中村剛也(L)は、逆に「コワモテ」方面の味がまだ足りない。
和田一浩(D)は、「愛嬌」というより「コミカル」の域なので別個性。
小久保裕紀(H)は、入団時からエリートなので②にそぐわない。「愛嬌」も微妙。
小谷野栄一(F)は、①と言い切れないのが惜しい。長打力=迫力があれば。
畠山和洋(S)は、すべてにまだ発展途上。
金泰均(M)は、あと5年くらい日本でプレイすれば……

そして、「近い将来の大杉勝男」一番手と思っているのは中田翔(F)。
彼は清原との比較で語られることが多いですが、ワタシはむしろ、大杉的選手と考えたい。
清原のような「エリートゆえの呪縛」のもとで窮屈な野球をやるのではなく、
大杉的な伸びやかな環境で、「コワモテ」と「愛嬌」の出し入れを自在に繰り出せるような、
味のあるスラッガーに成長してほしいと思っているのです。
東映→日ハムの系譜でいえば、直の後輩でもあるし。

最後に、スラッガー好きはわかるとしても「なんで右打ち限定?」という疑問について。
ワタシも、よく分析できていません。なぜなんだろう。
王貞治は別格として、掛布雅之も松井秀喜も偉大なスラッガーだと思うし、
現役ならT-岡田(Bs)や筒香嘉智(YB)にも期待するところ大なのですが。
一塁ベースに近いほうに立つ左打者には、
よくいえばモダン、悪くいえば合理主義的な匂いがあるからかもしれません。
「右打ちのスラッガー」には、どこか牧歌的な、ノンキな味わいがあります。
ベースに遠いうえに、足は遅い。それがどうした、打ちゃいいんだろ、というような。

(大杉カツオ)

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