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「幻の完全試合」について

ドラファンの皆さん、日本一おめでとうございます。
なにしろ、53年ぶり。過去、カネやんロッテに負け、黄金時代の西武に負け、
まだそんなに強くなかった時代のダイエーに負け、
ワイルドカードで勝ち上がってきた(04年の)西武に負け、
そして昨年は札幌でハムに負け。
正直、名古屋はボストンみたいに90年くらい日本一にはなれないんだろうなと思ってました。

このシリーズに関しては、明らかに中日のほうが強かった。
そのことを全面的に認めた上で、でも、やっぱり書かずにいられない。
もちろん、「山井の交代」についてであります。

まず、岩瀬のコメント。
「8回の時点で9回は行くと言われていた」

続いて、共同記者会見での落合監督のコメント。
「幸か不幸か、山井が『いっぱいいっぱい』と言ったので抵抗なく代えられた」

一方、山井のコメント。
「体力的に限界ではなかった。個人記録はどうでもいい。頑張ってきた岩瀬さんに投げて欲しい」
(なぜか、山井は共同記者会見に出席していなかった。これも不可解)

で、記者会見もビールかけも終わった後のテレビ生出演(NEWS23)で
落合監督は唐突に言ったのです。
「(山井を)続投させたかったが、マメがつぶれたので(交代させた)」

一読してわかるように、矛盾だらけ。
というか、わずか1時間程度の間に落合の発言内容がガラリと変わっている。
本当にマメがつぶれてどうにもならない状態だったのであれば
(8回の山井の投球内容からして、とてもそんなふうには思えないけど)
最初から言えばいいことだし、山井だって素直にそうコメントするだろう。

要するに、最初から「9回は岩瀬」と決めてたんでしょ?

山井本人が「体力的に限界ではなかった」と言う以上、
8回までパーフェクトの投手を変える根拠がいったいどこにあるんだろう?
落合擁護派に言わせると「勝負に徹した非情な采配」というのだけど、
岩瀬だって打たれることはあるわけで、勝負の確率論として考えても、
そこまで完璧に抑えている投手を続投させるほうが明らかに理にかなっているはずだ。
というか、一本ヒットを打たれた時点でスイッチすればいいわけだし、
最悪、ホームランを打たれたってまだ1-1の同点だ。
しかも、中日にはまだシリーズのアドバンテージがある。

ここでまるっきり見方を変えるならば、
落合監督は「非情」なのではなく、逆に「情がありすぎる」のかもしれない。
長年、酷使に耐えて竜を支えてきた岩瀬を、
なんとしても日本一の瞬間にマウンドに立たせてあげたい──という思いのあまり、
「9回は岩瀬で」という頑なな思い込みから逃れられなかったのではないかと。
だとしたら、素直にお立ち台で言えばよかったのだ。
「最後は苦労をかけた岩瀬に任せたかった。だから、山井とファンの皆さん、許してください」って。
そうすれば、わだかまった気持ちのファンも、ある程度は納得できたはずだ。

でも、見たかったなぁ。
「日本一の瞬間と、完全試合達成の瞬間が同時に訪れる」という空前絶後のシーンを。
たぶん、その瞬間の写真は、日本の殿堂のみならず、クーパースタウンの展示室にも飾られたはずだ。
だって、100年以上の歴史があるメジャーでも、そんな劇的なことは起こらなかったのだから。
そう思うと、プロ野球は、とてつもなく大きなものを
一監督のエゴによって失ったような気がしてならないのです。

(大)


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コメント (1)

アロンゾ・パウエル:

「山井事件」について、いろんな論客がいろんなこと言っていますが、この原稿がいちばん理路整然としていて、いろんなことがスッキリしました。

全面的に激しく同意いたします。

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2007年11月02日 01:03に投稿されたエントリーのページです。

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