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2008年05月 アーカイブ

2008年05月01日

野球文化小説としての『東京物語』

今、もっとも野球な作家と言えば、奥田英朗氏だと思う。

『野球の国』という、どこかの珍妙な野球シンガーがパクったタイトルの本もいいし、一昨年、北海道日本ハムが日本シリーズ制覇をしたときに、彼が『Number』誌に寄せた、相手チーム中日ファンの視点によるシニカルでペーソス溢れる文章にも感動した。

今回お勧めするのは『東京物語』。おそらく奥田氏本人と思われる少年が、1978年に名古屋から上京し、大学入学、中退。そしてコピーライターとして奮闘する80年代を語った私小説。

上京した日は、1978年4月4日。そう。後楽園球場でキャンディーズの解散コンサートが行われた日。

池袋の下宿から、大都会東京の大きさにおびえながら、ふらふらと水道橋駅にたどり着く。同じく名古屋から出てきた同級生の友人と、解散コンサートの爆音を少し距離を隔てた駅前の歩道橋から聴く。

そこに、酔っぱらった同郷のオヤジが絡んでくる。

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「巨人ファンに寝返ったらあかんぞ」

笑った。おじさんは、名古屋人は一生、中日ドラゴンズを応援しなければいけないと、酒の臭いをプンプンさせながらしゃべっていた。

「今年の中日は優勝するぞ」

「はぁ、そうですか」

「星稜高校から小松っていう凄いピッチャーが入ったんだ。こいつはやるぞ。絶対に大物になるぞ」

名前は知らないけど、自分たちと同い年かと思った。「じゃあ、ぼくらも応援しますよ」と心から言った。十八歳代表として本当に頑張ってほしいものだ。
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よくアメリカにおける「野球文化」の典型的な例として、ヘミングウェイ『老人と海』におけるジョー・ディマジオの例が持ち出されて、「あぁ、アメリカの野球文化はなんて豊かなんだろう」と、訳知り顔に語られたりするが、いやいや。日本も、名古屋も捨てたもんじゃない。

このシーンの次の章は、江川のデビュー戦の日に同級生と恋に落ちるという設定なのですが、これもいいです。お勧めです。

(ス)

2008年05月21日

南半球のショップで感じたベースボール

先週末から昨日にかけてオーストラリア・ケアンズへ行ってきました。
仕事半分・遊び半分という内容だったので気楽な旅。
というわけなのでフリータイムはグレイトバリアリーフやキュランダ観光へ行くわけでもなく、ただただブラブラと時間を過ごしておりました。

ただそんな時でも頭から決して離れないのが野球。
アメリカへ旅した時はきまって現地の大型スポーツショップを訪ねてはベースボールギアを入手するわけで、いくらラグビー大国オーストラリアといえどもアテネ五輪銀メダル国としてのプライドと意地がショップ店内に渦巻いているだろうと信じ、ケアンズの街中のスポーツショップを歩き回したよ。


で、成果はというと…0。
ゼロなのであります。全くなし。ベースボールの“ベ”の字すらなし。

そんなわけないだろと店員に聞いてみた。

ワタシ『ベースボールグッズが欲しい』。
店員『ベースボールって何だ?』。
ワタシ『・・・』。
店員『ラグビーボールならいくらでもあるぞ、ホラ』

知らない・・・ベースボールを知らない・・・。

かつて中日に在籍していたディンゴことデイヴィッド・ニルソンが己のメジャーキャリアを捨ててまで、オーストラリアンベースボール普及に尽力したというのに、なんたる有様。

ニルソンよ、お前の代わりに泣いてやるゾっ!


まあこれがシドニーやメルボルンならば話は変わっていたかも。
ベースボール場だってないしね。
ケアンズあたりじゃ、まだまだベースボールはマイナースポーツなのであります。

まずはなにはともあれ、ディンゴさんにさらなる努力をして頂き、オーストラリア国内においてのベースボール啓蒙活動を行ってもらうのが最重要課題だと感じた5日間でありました。


ちなみにディンゴとはオーストラリアの野犬の意。中日ではおとなしい犬でした。

2008年05月26日

古典・野球落語『三枚新庄』

ようこそのお運びで、厚く御礼申し上げます。徒然亭スー草と申します。さて、久々の野球落語、今回は「三枚起請」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E6%9E%9A%E8%B5%B7%E8%AB%8B)の改作で『三枚新庄』。

『三枚新庄』

建具屋の半七が吉原遊郭に行ったっきり戻らないと聞き、棟梁の政五郎が意見をしてやろうと半七を呼びつける。

「お前の親父に聞いたぞ。お前、吉原遊郭の花魁に入れ込んで、何日も家に帰っていないんだって?」

「ウへヘヘへ、当たり…」

話を聞くと、『年季が明けたらきっといっしょになる、神に誓って心変わりしない』という起請文も取ってあるらしい。

「何々…『一つ、起請文のこと。私こと、来年三月年季があけ候えば、あなたさまと夫婦になること実証也。新吉原江戸町二丁目水都楼内、喜瀬川こと本名新庄剛乃』。これをもらったのか!?」

「エヘヘヘへ、どうでしょ?」

「馬鹿か、お前は…」

「あ!? 投げた!! 俺の大事な…」

「あんなもの大事にするなよ」

なんと、棟梁も同じ女から、まったく同じ内容の起請文をもらっているのだ。

二人して呆れているところへ、今度は三河屋の若だんな(新之助)がやってきて、そっくり同じようなノロケを言いだした。

「あたしにその水都楼の女がぞっこんでしてね、これここに起請文まで…」

「『あなたさまと夫婦になること実証也。喜瀬川こと本名新庄剛乃』…」

「何で知ってるの!?」

棟梁に事情を聞き、新之助と半七の怒ること怒らないこと…。

『これから水都楼に乗り込んで、化けの皮をひんむいてやる!!』と息巻くふたりに、棟梁がマァマァと声を掛ける。

「相手は女郎だ。下手にねじ込んでも、開き直られればこっちが野暮天にされるのがオチだぜ。それならば…な」

なにやら二人に作戦を授け、三人そろって吉原へ。

お茶屋の女将に話を通し、部屋を借りた棟梁は、半七と新之助を部屋に隠して喜瀬川を御茶屋に呼びつけた。

「起請文? 棟梁にしか差し上げていませんよ。他の人には…」

「建具屋の半七には?」

「半七? どちらの…知ってますわよ、そんなに睨まないで。確かにお知り合いではありますけど、起請を送った事は在りませんわ。あんな『水瓶に落ちたおマンマ粒』みたいに太った…」

「『水瓶に落ちたおマンマ粒』、出といで…」

納戸の中から半七が登場。

「アララ、いらっしゃったの…?」

「こいつだけじゃねぇだろ。三河屋の新之助にも…」

「知らないよ。あんな『日陰の桃の木』みたいな奴…」

「『日陰の桃の木』、こちらにご出張願います」

「嘘…!?」

言い逃れできなくなった喜瀬川だが、このまま引き下がっては…花魁の名が廃る。

「ふん! 大の男が三人も寄って、こんな事しか出来ないのかい。はばかりながら、女郎は客をだますのが商売さ。騙される方が馬鹿なんだよ」

「何だとこの野郎!!」

「アララ、新ちゃん。手なんか上げちゃって如何するの? 吉原で女に手を上げるのはご法度よ」

「そんなんじゃねぇや」

「じゃあ、その手は何?」

「ん…これは『グー』だ。グーを出して…花魁の手管にはグーの音も出ない」

段々旗色が悪くなってきた。仕方なく棟梁が仲裁に入る。

「喜瀬川。男をだますのが仕事だって言うのは理解できるが、何で起請文なんかでだますんだ? 女郎なら、ちゃんと口で騙せよ」

「フン!! 一枚や二枚で驚くなってんだ。この江戸中探したら、いったい何枚起請が出てくることやら…」

「喜瀬川、昔からよく言うだろ? 『起請に嘘を書くと、熊野の烏が三羽死ぬ』ってな」

「オホホ…。私はね、言い寄ってくる男なんざ相手にしねぇんだよ。」

「じゃ、本当に好きになるのはどんな男なんだ?」

「敬遠されると打ちたくなる」

(完)

2008年05月28日

3のつく数字と3の倍数だけアホになる巨人

ワンちゃん、小笠原、ミスタァ~、黒沢、ラミレス、小坂ァ~、二岡、谷、清水ゥ~、阿部、久保、鈴木ィ~林ィ~、沢村、辻内ィ~、川上、ジャン、桑田ァ~、上原、豊田、ヒサノリィ~、福田、脇谷ァ~ヨシノブゥ~、スンヨプ、内海、門倉ァ~、金刃、グライシンガー、西村ァ~バーンサイドォ~円谷ァ~野間口ィ~カネや~ん亀井ィ~村田トオルゥ~藤田ァ~上野ォ~吉武ェ~、村田ゼン、木佐貫、クルーン~~真田ァ~、大道、小田嶋ァ~、野口、山口、矢野ォ~

……ゴンザレ~~ス!(←アホにもなれない49番)

*一部、永久欠番およびOB選手が混じっています。

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